2001年度唐沢孝一公開講座(第4回)

「江戸東京の自然を歩く」

よみがえった黒こげのイチョウ

出版記念講演会 

field−essay No.69   2001年5月22日 


5月22日、唐沢孝一公開講座の第4回として

出版記念講演会を行いました。

いつもながら、千代田の会と、新宿の会の役員の皆さんにお世話になりました。

受付から、スライド映写、ビデオ撮影、会場案内・・・・

本当にお世話になりました。

さて、講演会の方ですが、

まずは、

 

010522shuppan-3.jpg (72599 バイト) 工藤さん

総合司会の工藤渡さん(千代田の会幹事長)による開会の言葉と講演会全体の説明。

もう、シンポジウムや講演会の司会ではお馴染みで、手慣れたもの・・・・・。

そして、素敵なスカーフとドレスアップした緒方さんによる司会進行・・・。

010522shuppan-2.jpg (78773 バイト) 緒方さん

最初にご挨拶、ご祝辞をいだだいたのは、佐藤良徳先生

都立鷺宮高校の生物の先生で、この夏に実施予定の日本生物教育会全国大会の事務局長という

超ご多忙にも関わらずに駆けつけいただきました。

唐沢のこれまでの出版物や焼けイチョウ調査について、ご紹介いただきました。

今回の出版も、佐藤先生からのご教示によるところが随所にあります。

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佐藤良徳先生による祝辞

引き続いて、賀来孝代さんからのご祝辞

考古学の世界、例えば銅鐸や埴輪などの世界に登場する野鳥に注目し

考古学の世界からも、鳥学会の世界からも注目を浴びている賀来さんからのスピーチ

樹木やら、野鳥やら、「自然のおしゃべり」を聞き取っている・・・・・・

という表現は、我ながら得心するものがありました。

後日、参加者の一人で、滝之入新一氏(元皇宮警察本部)からも

賀来さんの「自然のおしゃべり」というやわらかな表現に感動・・・・

というお便りをいただきました。

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賀来孝代さんによる祝辞

かくして、約80名の熱心な聴衆に迎えられ

出版を記念しての講演が始まったのであります。

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写真   会場を埋めつくした参加者の皆さん

前半は、これまでの私が樹木について体験したことについて

屋久島の縄文杉やウイルソン株、昨年訪れたコスタリカの雲霧林等に触れました.

巨樹・巨木に着生する実に多くの生命体を見上げると

地球の各地に残存する巨木は

ひょっとして何らかのコミュニケーションがあるとしたら

都会の焼けイチョウもまた、その一員ではあるまいか・・・。

数百年、数千年を生きる巨樹には、70〜80年の寿命の我々とは異なる生命の論理(?)があるのではないか・・・・。

そんな印象をお話ししたかったのですが

うまく伝わったでしょうか・・・。

休憩時には

田中健雄さん(全国巨樹・巨木林の会)に持参していただいた

世界の巨樹・巨木の写真に見入りました。

イチョウのみならず、群馬県のクワ、マダガスカルのバオバブ・・・・・・。

本当に、巨木の魅力はつきません。

そして、後半では、

サンゴジュが火防の木として役立っていることを実証した明治大学の岩河先生の野外実験

カラー写真は、拙著のグラビアにも掲載しましたが、本当に迫力満点です。

神戸の大地震での樹木の役割、原爆で被災した広島・長崎での樹木の復活によって

戦後の人々が生きる勇気を得たこと・・・・等々・・・。

焼けイチョウの今日的意義についても触れたつもりです。

縄文の時代から日本文化の基層を形成している巨樹・巨木への憧れ・・・・そして、森の文明・・・・。

お話ししたかったことの、ほんの一部分しかお話し出来ませんでした。

あっという間の2時間が終わり

500ml/130円という、ガソリンよりも高価な縄文水を飲んだのでありました。

いろんな方にお世話になり

多くの出会いがあり

新しい発見がありました。

盛会のうちに講演会を終了できたのも

遠くから、そしてご多忙にもかけつけていただいた参加者の皆さんの

そして、ご支援いただいた千代田や新宿の会の皆さんのお蔭です。

改めてお礼申し上げます。

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写真   公開講座を手伝っていただいた皆さんと共に

講演会を終えて

いろんな方から、プライベートにメールをいただきました。

その全てをご紹介することは出来ませんが・・・。

カラサワールドの掲示板には、さっそく詩人の佐々木俊弥さんから

小生の講演は、「良い意味での散文的」であり、新しい世界を感じさせるもの・・・。

埼玉県の内山裕幸さんからは、

何と、20年3月10日の未明の東京大空襲の時、寺島第二小学校付近を母と共に逃げまどっていたとのこと・・・。

文京で自然を育む会の矢野真由美さんからは

文京区役所の前の公園にあるイチョウも、焼けイチョウの可能性がある・・・とのこと。

「波濤」短歌の会の北谷尚也さんからは、川崎市の稲毛神社の大イチョウが、空襲で焼けたとのこと

現地で撮影したイチョウや境内の解説板の写真をいただきました。

(拙著の最後に付記した各地の焼けイチョウの記録は、早速改定版の準備に取りかかります・・・・)

そして、筑波大学の堀輝三先生からは

青森県は、巨樹王国であり、

そのことは、実は中世以来の日本の文化や政治などと深く関係しているのではないか・・・

という、示唆に飛んだご指摘をいただきました。

このことは、

参加者の一人、中世の樹木の著書を出された武蔵大学の瀬田勝哉先生と通じるものを感じました。

堀先生は、現在、日本中のイチョウの巨木の現地調査をほぼ完了されたとのこと。

その成果が発表されしだい、皆さんにもお知らせします。

焼けイチョウが縁となって、こうした人の輪が広がっていくこと自身

やはり巨木のもつ魅力の一つかもしれません。


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