フィールドエッセイ「旅と自然の心象スケッチ」  第881回

じっくり観察したコブハクチョウとコゲラ

雪の残る皇居・東御苑


2008年2月7日(木)

品川自然観察会の皆さんを皇居・東御苑に案内しました。

もう何十回も訪れている東御苑ですが、この日も新たな発見がありました。

「新たな・・・」ということは、「知らないことだらけ」ということです。

 

大手門に向かって左手は桔梗濠です。

ユリカモメが30〜40羽、キンクロハジロが20羽、そして2羽のコブハクチョウを見かけました・・・、が

1羽のコブハクチョウ、私の方に背を向け、こんなものを見せてくれました。

まずは下の写真をご覧下さい。

 

「みずかき」の裏側です。

 

足の裏側を体の後方に突き出して

「みずかき」を広げ、あたかも陽にかざして日光浴でもしいてるかのようです。

カモ類でもときどきこんなポーズを見かけます。

 

コブハクチョウの「みずかき」

 

こうして足を温めているのでしょうか・・・?

それとも、太陽で殺菌するなど衛生上の理由でもあるのでしょうか・・・?

姿勢としてはちょっと不自然で疲れるのではないか・・・と思います。

「みずかき」を後方に突き出す行動

何でしょうかね?

 

大手門をくぐり、三の丸の休憩所まできたところで

遠くから、「ギィー」という声がするのを耳にしました。

「どこかでコゲラがいますね、その辺の樹なんですが・・・」

カリンの大木があり、そこにタイミングよく1羽のコゲラが飛来しました。

このコゲラ、サービス精神旺盛で、体のいろんな部分を披露してくれました。

 

まずは鋭い嘴です。

キツツキの仲間は樹皮にとりついているので、背後から観察することが多いのですが、

下の写真のように、顔を真っ正面から見てしまいました。

際立っているのが尖った嘴です。

こんな針のような嘴でコンコンたたくんですね。

 

ちらっとこっちを見たコゲラ、鋭い嘴が目立ちます。

 

しかもこのコゲラ

少しも人を恐れません。

30名もの参加者がウォッチングし、視線を注いでいるというのに採餌に夢中です。

と、その時、一瞬でしたが、翼をパッと広げたのです。

翼の裏側まで見せてくれました。

 

このコゲラ、翼の裏側まで見せてくれました

 

それにしても忙しい鳥です。

カリンの幹をどんどん上り、細い小枝の先までいっては

再び下方の幹へと移動するのですが、その時々にチラッ、チラッと赤い羽毛が見えました。

そうなんです、♂の特徴である「後頭部の赤い小斑」が点滅するように見えました。

 

頭部にチラッと赤い羽毛が見えました

 

これまでも何回かは赤い小斑を見たことはあります。

しかし、順光で、これほどはっきりと見たのは初めてです。

頭の両側から後頭部にかけて、鉢巻きでもしているかのような赤い部分

全員で納得いくまで観察できました。

 

コゲラ(♂)の後頭部の赤

 

後方から見ると、赤い目をした鳥のようにも見えました。

この赤い部分が、チラチラと見えたり、見えなかったりする・・・

この「赤の点滅」、♀への求愛の時に威力を発揮するのでしょうか・・・・・。

 

コブハクチョウのみずかきの裏側

コゲラ(♂)の後頭部の赤い羽毛

どちらも図鑑や写真等では知ってはいました、が

フィールドで実際に観察した時の感動

格別でした。

 


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