フィールドエッセイ「旅と自然の心象スケッチ」  第800回

台風9号の爪跡を追う・・・

奥日光〜大磯〜谷津干潟


9月7日:首都圏を直撃した台風9号

その爪跡を追いかけるように各地を旅してきました。

 

奥日光の戦場ケ原の湿原では、

湿原の木道がすっかり冠水し、観察路は寸断。立入禁止で入れませんでした。

 

水量の多い竜頭の滝

左は下から見上げた滝、右は滝を見下ろしたところ(その先は中禅寺湖が見える)

 

水路を倒木が塞ぎ、林の林床の笹も冠水した痕が残っている・・・

 

湯ノ湖に流入する河川は、下の写真の通りです。

湖に土砂が流入し、自然の力で湖岸が埋め立てられてしまいました。

湯ノ湖に流入する河川、沢山の土砂が流入している・・・・

 

9月13日(木)、木鳥会の観察会で

大磯の照が崎海岸にアオバトを観察に出かけました。

7月に訪ねたときには砂浜が磯までつながっていたのに、すっかり砂が洗い流されて、

堤防と磯とは完全に切り離されてしまいしまた。

地元の元漁師の話しでは、64年ぶりに海底が現れたという。

アオバトが塩水をのみに飛来する照が崎の磯

台風7号の影響で、すっかり砂が流されてしまいました。

 

台風の通過した後もずっと雨の日が続き

9月13日は久しぶりの晴れ間の見える日となりました。

そのためか、大磯駅に8時集合したときには、頭上を次々と海岸の方へと飛翔するアオバトの群れを観察。

地元でカウントしている方のお話では、この日の飛来総数は、1000羽を越えたとか・・・。

 

海水を飲みに飛来したアオバト・・・

30〜50羽の群れ単位で飛来し、ほんのわずか岩に舞い降り、直ぐに飛び立ってしまいます。

 

海岸に落ちている緑がかった小石はアオバトの羽の色に似ていました。

全員で「アオバトの石」をもって、記念撮影です。

 

9月14日(金)、品川自然観察会の皆さんと出かけた谷津干潟では、

打ち寄せて漂着したゴミ、流木、ヨシの茎や根などが岸辺を埋めつくしていました。

 

谷津干潟の岸辺に漂着したゴミ、主に枯れたヨシの茎や根だ。

 

セイタカシギの♀成鳥、漂着したヨシの茎などの上で休止する

 

岸辺のヨシの茎や根の上に静止しているセイタカシギ、

どこか呆然としているようにも感じられました。

 

首都圏を直撃し、八王子から日光へと駆け抜けた台風9号、

人の方の被害も大きなものがありました、が

野生の動植物の被害は想像もつかないほど大きかったのではないかと推測しています。

奥日光、大磯、そして谷津干潟の3カ所を見ただけでも、自然の力を思い知らされました。

 


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