フィールドエッセイ 特別号 (2037回)
書評・紹介など
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唐沢孝一著
『都会の鳥の生態学』 (中公新書)
カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰
中央公論新社 (chuko.co.jp)

都市を舞台に繰り広げられるカラスと猛禽類(オオタカやハヤブサ)とのバトル、人と共存してきたスズメやツバメの栄枯盛衰、
都市進出の著しいイソヒヨドリ・・・・・本書は、これら都会に生きる鳥たちの生態を通して、都市とは何か、都会人とは何か、
変化する鳥と人との関係などを紹介する。都市環境に適応して生きる鳥たちのしたたかな生態を解説するとともに
巨大都市の変貌をひもとく、「都市の自然誌」でもある。
著者が50年以上にわたって研究してきた、
都会の鳥の生態研究の集大成が、
ようやく発刊の運びとなりました。


定価 1050円(+税)

口絵 カラー写真

最新の話題テーマを、16項目にまとめて解説しています。
世界で初めて撮影されたツバメの捕食シーンも掲載されています。

東京銀座のイソヒヨドリ
マンホールは都会の鳥たちのレストラン
ツバメの見事な離れ業 
ツバメの巣立ち雛による「労働寄生」
数千~数万羽で夜を過ごすツバメたち~
人里離れた畑や林で繁殖するスズメ
厳しい冬を混群で乗り越える
都市河川で繁殖するカワセミ
都市公園(池)で繁殖するカイツブリ
屋上で繁殖するコアジサシ

カラスの様々な集団ねぐら
ハシボソガラスの集団クルミ割り行動
超高層ビルを住処にするハヤブサ
モニター画面で見る自然教育園のオオタカ
都心に進出した小さな猛禽「ツミ」
夜の都会に進出したフクロウ


目次
第1章 人と鳥のソーシャルディスタンス
人類と鳥類の出会い
イソヒヨドリの都市進出

第2章 ツバメの栄枯盛衰
ツバメの帰還と婚活
ツバメの子育て
ツバメの集団ねぐら
ツバメの栄枯盛衰

第3章 人類に随伴するスズメ
都市鳥としてのスズメ
スズメの食生活を読み解く
スズメの近所付き合い
スズメのねぐらを探る
スズメのお目こぼし繁殖

新天地を求めて

第4章 水鳥たちの楽園、「都市の水域」
都市の水環境と水鳥
都市で繁殖する水鳥
都市をさまようパイオニアバード


第5章 都市生態系の頂点「カラス」
新たに得られたカラス情報
カラスの集団ねぐらを読み解く
カラスの食事と調理を読み解く
ハシブトガラスとハシボソガラス


第6章 カラスと猛禽

タカとハヤブサでは大違い
ハヤブサ目の都市進出
都会の緑地に進出したタカ
苦戦する夜の猛禽「フクロウ」
これからの都市鳥

おわりに

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書籍紹介+書評など
東京新聞
2023年7月30日
お目こぼしが命育む (杉本真維子・詩人)
<書評>『都会の鳥の生態学』唐沢孝一 著:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

毎日新聞
2023年7月29日

今週の本棚:『都会の鳥の生態学』=唐沢孝一・著 | 毎日新聞 (mainichi.jp)


AERA website (朝日新聞出版)
https://dot.asahi.com/dot/2023072500124.ht

ダ・ヴィンチ website

https://ddnavi.com/review/1137048/a/
ツバメは優良物件を選んで繁殖

女性公論website

https://fujinkoron.jp/articles/-/8782?page=6
(
小鳥にとってマンホールは公共レストラン」)

https://fujinkoron.jp/articles/-/8785
(「ツバメは一夫一妻のはずなのに 浮気子どもがずきる?)
https://fujinkoron.jp/articles/-/8786
(
「最近カラスが減ったとおもいませんか?」)

https://fujinkoron.jp/articles/-/8787?page=5
(
クルミを車に轢かせて食べるカラス)

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NPO自然観察大学HP
HP 図書紹介 (岩瀬徹)
https://sizenkansatu.org/hon2023_1.html
ブログ 図書紹介 (大野 透)
https://sizenkan.exblog.jp/29619118/
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新聞書評
産経新聞-「書評」 2023年7月9日
世界日報-「書評」 2023年7月2日
朝日新聞-「杉田俊介の新書速報」 2023年7月15日


(左)~朝日新聞 (2023年7月15日) 、(中)~産経新聞(2023年7月9日)、(右)~毎日新聞(2023年7月27日)


東京新聞2023年9月27日

■週刊現代」(講談社) 2023年7月23日




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訂正のお願い

■ p.25 後から4行 (誤り) 
渡来が早まっているのは成鳥のみである。若鳥が渡来するピークは1960年代2000年代も7月中旬であり変わっていない。
また、繁殖が終わり、巣立った幼鳥が確認される時期も約半月早まっている。
ツバメの成鳥は早く日本に帰り、早く繁殖を終えたいという事情があるらしい。

下記のように訂正

1960年代と2000年代を比較すると、成鳥の渡来も雛の巣立ち時期も半月早まっている。
ところが、巣立った幼鳥が捕獲・放鳥される時期のピークはほぼ同じ
8月中旬であり変わっていない。
また、渡去の時期も、成鳥は
9月中旬、幼鳥は9月下旬であり変わっていないのである。


■p.108 9行目
ハタオリドリ科 (誤)→スズメ科 (正)


■p.225 後から3行目
カラス (誤)→フクロウ (正)

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良質かつ広領域の知識源
梅棹忠夫


わたしが「中公新書」の愛読者であるのは、そのテーマが宇宙史から個人体験まで多岐にわたりながらも、
そこに一貫として事実追求のつよい姿勢がうかがわれるからである。
観念と理念をこえて世界において生起するさまざまな現象と事実にこそ
新鮮な知的刺激
を感じてしまうような人間にとっては
「中公新書」は良質かつ広領域の
一大知識源である。

一般市民を読者として予想しつつも
啓蒙に脱することなくこの新書一冊をまとめあげるには、ものすごい力量がいる。
どの著者も、最新の成果をふまえて全力をふりしぼっている。
その迫力をうけとめたい。


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